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シモン・ボリバル・ユース・オーケストラの衝撃 [音楽・楽器]

きのう衝撃的な演奏会を聴いてきました。

シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ、指揮はグスターボ・ドゥダメル
http://eplus.jp/sys/web/s/sb/index.html

【プログラム表紙】
IMGシモン・ボリバルYO.jpg

「ユース・オーケストラ」とは、日本では通常「青少年オーケストラ」などと呼ばれるわけですが、このオケの場合、音楽教育を通じて貧困層の子どもたちの成長をサポートするベネズエラの国家プロジェクトが基盤となっているそうです。

「エル・システマ」と呼ばれるこのプロジェクトは、ベネズエラ各地にユース・オーケストラを設立し、貧困に喘ぐストリート・チルドンレンたちにクラシック音楽をはじめとする様々な教育を実施して、非行や犯罪から守るというもの。

現在、人口2600万人のベネズエラに約200のユース・オーケストラが存在しており、約25万人の所属メンバーの中から選抜された精鋭集団が「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネズエラ」だということです。

ということで、初来日公演の初日、池袋・芸劇(東京芸術劇場大ホール)に向かいました。

IMG_6869SBYO.JPG

曲目は以下の通り。
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
カステジャーノス:「パカイリグアの聖なる十字架」
チャイコフスキー:交響曲第5番



まず驚いたのは、オケのメンバーの多さ


弦の人数は、チャイコフスキーでは、1stバイオリン=28人、2ndバイオリン=24人、ビオラ=20人、チェロ=19人、コントラバス=11人(5弦はたぶん4本)。(数え間違いがあるかもしれません。)
弦だけで100人を超えます。
木管が17~20人以上で、金管は20人。(チャイコフスキーではテューバを含め「倍管」でした。)
アンコールでは打楽器が10人ほどいたようです。(ティンパニは常に1人でした。)
ということで、一番多いときは約150人がステージに乗ってました。

ちなみに、女性奏者たちの服装は、ミニのタイトスカートのスーツやノースリーブ、肩出しのドレスやブラウスなどが多く、若さがはちきれる感じでした。



そして、演奏ですが、一言で言うと「若さというエネルギーが、巨大なかたまりになって押し寄せてくる」という感じでしょうか。
(奏者は基本的にみんな20代だと思います。)

これだけの人数でありながら、大きく乱れることがなく、きちんと音楽的にまとまっています。
静かな部分で、弦がうるさすぎることもありません。

技術的な裏づけもあるのでしょうが、それにもまして、指揮者・ドゥダメルの棒に集中し、「心が一つになっている」という印象でした。


もちろん、さまざまな楽器のソロもすばらしい演奏ばかりでした。
ラヴェルのアルト・フルート、カステジャーノスのトランペット、チャイコフスキーのホルンやオーボエなどなど。
ビオラやチェロのトップも、すばらしいソロを聞かせてくれてました。


曲ごとに見ていくと、最初に国家の演奏(「君が代」と「ベネズエラ国歌」)がありました。
「君が代」は非常に音楽的で、まったく違和感のない演奏でした。

プログラム1曲目のラヴェルは、フランスものならではの「押してくるところ」と「引くところ」がよく描かれていて、さまざまな楽器のソロもとても音楽的でした。
フィナーレの部分は非常に迫力があって、圧倒されました。
終わった瞬間、客席は早くもスタンディング・オベーションでした。

カステジャーノスは、ベネズエラの作曲家だとのこと。
「十字架」という題名から、何か宗教曲のようなものを想像していたのですが、いきなりトランペットの独走で始まるラテン系の曲。
「マリアッチ」などを思い浮かべる軽快で楽しい曲でした。


チャイコフスキーは、端正でオーソドックスな演奏だと思いました。
強弱の変化・メリハリがあって、とてもよくまとまってました。
4楽章のトランペット4本がユニゾンでメロディーを吹くところなど、フォルテ・フォルティシモの部分では、弦がさすがに多すぎて、やや音量が足りない感じはしましたが…。


そして、アンコールは2曲。
バーンスタイン:「ウエスト・サイド・ストーリー」より「マンボ」
ヒナステラ:「エスターシア」より「マランボ」


IMG_6875SBYO.JPG

2曲とも、途中で奏者たちが立ち上がったり、楽器を回したり、「マンボ!」という掛け声をかけたりと、ノリノリでした。
まるで「のだめカンタービレ」のような光景でした。

すべての演奏終了後も、拍手はなりやまず、ドゥダメルは何度もステージに呼び戻されていました。


で、全体の感想ですが、(繰り返しになりますが)とにかく衝撃的の一言。

1曲目が吹奏楽でも大人気の「ダフクロ」だったせいもあるのでしょうが、吹奏楽コンクールの全国大会を思い浮かべました。
「全員が一つになって、どこかへ突き進む感じ」といえばいいのでしょうか…。
150人があれだけ心を一つにできるというのは、そのシステムもあるでしょうし、何よりも指揮者・ドゥダメルの力が大きいのでしょう。

義務(や職業)ではなく、音楽が好きで、心から楽しんでいるというようにも感じました。

われわれアマチュアとしては、ベルリン・フィルだのウィーン・フィルだのよりも、よほど参考になり、目標にすべき演奏なのかもしれないと思いました。
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コメント 6

稲毛海岸

私のブログにコメントとトラックバックをありがとうございました。
チェロ19人は、私も数えました!
驚きました。
ティンパニが1人だけなのが奇妙に感じられるくらいの大編成でしたね。
by 稲毛海岸 (2008-12-18 22:24) 

Lionbass

稲毛海岸さま
コメントありがとうございます。
私もチェロ18人、コントラバス12人という演奏会で弾いたことがあるだけに、あそこまで「一つになれる」というのはすごいことだと思いました。
by Lionbass (2008-12-19 09:44) 

ぬれぴよこ

150人の心が一つになった演奏とは、ものすごいエネルギーが伝わってきそうです!
by ぬれぴよこ (2008-12-19 10:32) 

Lionbass

ぬれぴよこさま
若さと純粋さの現れかな、と思います。
ベルリンフィルなどのような「ベテランの名人芸」とは別の感動だったと思います。
by Lionbass (2008-12-20 22:21) 

tamy

今NHKの放送を見ました。
本当に、まさに「ライジングスターオーケストラ」だと思いました。
本番を見逃したのが悔やまれてなりません。
また来日することがあれば、今度は絶対見逃したくないです。
by tamy (2009-02-21 00:43) 

Lionbass

tamyさま
書き込みありがとうございます。
評判を聞いてはいたものの、そんなに期待せずに会場に行ったのですが、あんなに「すごい」とは思いませんでした。
「演奏の巧拙」とは別の次元で評価すべきなのではないかと思います。
by Lionbass (2009-02-23 09:49) 

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